霰粒腫……いわゆる「ものもらい」
ドラッグストアで購入、または眼科で処方された目薬を使用しているのに、1か月以上たっても「ものもらい」が治らないという訴えで受診されるケースがしばしばあります。

ものもらいが1か月以上治らないのですが……



長引く「ものもらい」は多くの場合、霰粒腫(さんりゅうしゅ)です。



ちなみに「ものもらい」は関東の方言で、関西では「めいぼ」や「めばちこ」、北陸では「めもらい」などと、各地でいろいろな呼び名があります。標準語はないようです。



霰粒腫の原因は何?



まぶたにはマイボーム腺という涙に油分を分泌する器官があり、この油は目の表面の乾燥を防ぐために重要な働きをしています。何らかのきっかけでマイボーム腺の出口が塞がってしまうと、出れなくなった油が溜まり、そこに炎症がおこることで発症します。



「ニキビ」と少し似ていますね。




乳幼児から高齢者まで幅広い年代に発症します。
1~2週間で自然に治ることもありますが、しこりが大きくなったり、硬くなることもあり、治るまでに数か月かかることもあります。
治療は痛みがある場合は抗菌剤の点眼が一般的です。痛みが強い場合は抗菌薬の内服を考慮します。痛みがなければ自然治癒を待っても問題ありません。
外見上目立つ場合は、ステロイドの局所注射や簡単な手術が選択肢となります。
乳幼児や若年者で、霰粒腫が繰り返し出現することがあります。多発性霰粒腫と呼ばれます。弱毒菌やデモデックス(にきびダニ)がマイボーム腺に潜んでいることが原因です。治療は温罨法やリッドハイジーン(アイシャンプー等)、治りにくい場合はある種の抗生物質内服も考慮します。また、IPLという光線療法も最近注目されています(保険適応外)
治りにくい場合は、稀に脂腺癌の可能性もあります。特に60歳以上の方は注意が必要です。



しこりの大きさや炎症の程度、膿の溜まり方にもいろいろなパターンがあり、治療も異なります。それぞれについて下記に記載します。
霰粒腫の経過はマチマチ


発症初期は、まぶたの赤み、腫れがあり、痛みがやや強い。数日でこれらの症状はおさまることが多いが、下記に移行することもある。
治療は抗菌の目薬。ときにステロイド点眼を併用


さわると硬いしこり(大きさはビーズ玉から小豆くらい)を触れるが、皮膚面はきれい。
多くの場合、自然に治るのを待つ。数か月以上かかることもある。目立って気になる場合は、ステロイドの局所注射で小さくしたり、手術で取り除くこともある。


しこりの皮膚面が黄色く膿が溜まっているのが見える。
自然に破れて膿や血が少量出たりすることもあるが、なかなか治らない。月単位を要することも。ステロイドの局所注射で小さくしたり、手術で取り除くこともある。破れているときは細菌が入らないよに抗菌軟膏を処方することもある。


しこりの結膜面が黄色く膿が溜まっているのが見える
多くの場合、自然に治るのを待つ。穿刺して内容を出した方が早く治る場合もある


霰粒腫に細菌感染をおこしている状態。腫れ・痛みが非常に強い。化膿性霰粒腫と呼ばれる
抗菌の目薬と抗菌剤の内服


しこりが大きくなって、触れると柔らかい。痛みは殆どない。中に大量の膿のようなものが溜まっている
穿刺すると膿のようなものが大量に出て、治りが早まる。


横方向に延びた細長い形状のしこり。治るまでに数ヶ月を要する
基本、放置。ステロイドの局所注射が有効な場合も。


結膜側から赤みの強いプヨプヨしたものが出てくる
化膿性肉芽腫と呼ばれるが、感染とは無関係。
放置でよいが、簡単に取り除くことができる


次々出来てくる。マイボーム腺に弱毒菌が住み着いている可能性がある
アイシャンプー、抗菌の目薬、食生活改善、IPL等。弱い抗生剤の長期内服が有効な場合もある