閉塞隅角とは

閉塞へいそく隅角ぐうかく」または「浅前房せんぜんぼう」と指摘された

眼科を受診した際に「閉塞隅角(へいそくぐうかく)」または「前房(ぜんぼう)が浅い」と指摘され、緑内障に注意する必要があると言われました。どのように注意すればいいのかわかりません。

閉塞隅角って何?

眼科では細隙灯顕微鏡という器械で目の形を見ます。

細隙灯顕微鏡で撮った写真です
正常
閉塞隅角

閉塞隅角では正常眼に比べて赤の矢印の隙間が狭いことがわかりますね。

閉塞隅角の人は眼圧が上昇して緑内障を発症する可能性があります。緑内障になると視野狭窄や視力低下、最悪の場合、数日で失明するリスクがあります。

えーっ?? 不安なんですけど…

きちんと理解し、適切に対応すれば大丈夫。
閉塞隅角が原因でおこる緑内障はやや特殊なタイプの緑内障です。
一般的な緑内障(開放隅角緑内障・正常眼圧緑内障)に比べ、予防や治療がシンプル(場合によっては完治も!)

これから説明します

まず「隅角はどこか?」から……

斜め方向からスリット光で撮った写真です

角膜と虹彩の間が「前房」、前房の隅が「隅角」です。

もう一度「正常な隅角」と「閉塞隅角」を見比べてください

正常
閉塞隅角

閉塞隅角とは角膜と虹彩の間(前房)が非常に狭い目のことである。
閉塞隅角は50才以上で、特に女性で遠視の人に多い。こどもや白内障手術後の人にはない。

眼内の水隅角から眼外へ排出されます

正常
閉塞隅角

閉塞隅角の目は眼内の水 (房水) が眼外に抜けにくいため、眼圧が上昇しやすい。

閉塞隅角で眼圧が上昇したら、どのような症状が出ますか?

眼圧上昇には2パターンあります。いきなり眼圧が上昇する「急性型」と徐々に上昇する「慢性型」です。

いきなり眼圧が上昇する「急性型」

「急性緑内障発作」と呼ばれています。
ある日突然、激しい「眼痛」「かすみ」「頭痛・吐き気」ではじまります
眼圧が50mmHg以上に上昇しており、緊急手術を行って発症後24時間以内に眼圧を下げる必要があります。数日放置すると失明する可能性があります。ただちに眼科を受診してください。


「頭痛」「吐き気」が強いので、最初に内科や脳神経外科を受診される場合も多く、しばしば眼科的な治療が遅れてしまい後遺症が残ってしまう症例を経験します。

眼圧が徐々に上昇する「慢性型」

「慢性閉塞隅角緑内障」と呼ばれています。
眼圧が徐々に上昇するので、かなり眼圧が上がっても痛みはありません。
徐々に視野が失われますが、末期に近づくまで自覚症状はありません
失われた視野は回復不能なので、早期発見が重要です

どのような治療をするのですか?

「急性型」も「慢性型」も手術です。
その手術は「白内障手術」です。
緑内障の治療が白内障手術?…… 白内障手術で隅角が広がり、閉塞隅角が治るからです。
その他、レーザーで虹彩に穴を開けるという治療もあります

眼圧が上昇していない場合は以下に気をつけて生活してください。

閉塞隅角と診断されたら

急性発作の予防するために、抗コリン剤を避けましょう
抗コリン剤は一部のかぜ薬・自律神経系の薬など多くの薬が該当します。また内視鏡の検査等でも用いられます。
医師・薬剤師に「閉塞隅角」であることを伝えましょう。

定期的な眼圧チェックを受けて慢性型になっていないか調べてもらいましょう(3~6か月毎)。

緑内障発作の症状が出現したら、ただちに眼科を受診しましょう。

急性型も慢性型も、白内障手術で緑内障を予防できるので、早めに手術を行ったほうがよい場合もあります。

いずれのタイプも、一般的な緑内障(開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障)とは別の病気です(病名は緑内障でもほぼ同姓同名の別人)。